【 目次 】
厳しい時代を生き残るための唯一の方法
「型」とはいったい何か?
良質なアイデアには「型」が必要
「型」に秘められた可能性
厳しい時代を生き残るための唯一の方法
現代社会に生きる私たちは常に競争の中にいます。そのような状況の中でどうせやるなら勝負にも勝っていきたい。当然そう考えるでしょう。では勝負に勝つにはどうしたらいいでしょう。
おそらく多くの方はこのように考えるのではないでしょうか。簡単には成果を出せない時代だからこそ、まずは成功事例を真似しよう。
もちろん、成功事例を真似るというのもひとつの手段だと思います。しかし実際には、とても残念なことですが、なかなかうまくいきません。
成功ノウハウの書籍も次から次へと出てきます。そしてライバルも同じように真似をします。結局ほとんどの人は他の誰かと同じような取り組みになってしまいます。だからこそ現状を変えていくために、まず大切なのはライバルと競い合ってはいけないということです。これは絶対ルールです。
おそらく安易な解決法など、もう簡単には見つからない。そんなことに、あなたもうすうす気づき始めているのではないでしょうか。では何か確実な方法はないか。それは簡単です。
競合をゼロにしてしまえばいいのです。そんなことができれば苦労しない。でもそんなことができるのです。
新しいものをつくり出すために1番最初にやるべきことは、昔から変わっていません。まず習慣による固定観念や常識を取り払うことです。それができるとグッと可能性が広がります。
そこで、必要なのはアイデアです。競合ゼロのビジネスモデルで10年先まで設計するアイデア。そんなアイデアを考えることができたら素晴らしいと思いませんか。結局は新しいことを発想しようと思ったら、自分の頭で考えるしかないのです。
総じて言えば、いつの時代もアイデアだけが、オリジナリティを持ち、厳しい時代を生き残るための唯一の術になりつつあるのではないでしょうか。アイデアを出せない企業に未来はありません。これは断言できます。
私はビジネスモデル・デザイナー®という職業柄、普段の仕事の中で経営者と共にビジネスモデルや事業のアイデアを考える機会がとても多いです。
しかし、私がお付き合いする企業の経営者の方々は、アイデアを出せるタイプの人と出せないタイプの人とハッキリと分かれます。いったいこの違いは何なのでしょうか。
アイデアを出せる方は、フレームワークというアイデア発想の「枠組み」にそって考えています。逆にアイデアを出せない人は、その「枠組み」を知らないため、思いつきが多くモレも発生します。
ビジネスモデルの場合、この思考の「枠組み」のことを「型(事業フォーマット)」と呼びます。今回はこの「型」について、その重要性をお伝えしたいと思います。それによって、あなたの発想が飛躍するきっかけになれば幸いです。
「型」とはいったい何か?
ビジネスモデルのアイデアを考えるとき、私たちビジネスモデル・デザイナー®は、さまざまなビジネスツールを使います。そのひとつが7種類22分類の「型」と呼ばれる発想ツールです。
ビジネスモデル・デザイナー®はビジネスモデルには「型」があるという前提に基づいてアイデアを構築しているのです。では、この「型」とは?
私たちが使っているこのツールは、1,061個の小資本で成功しているビジネスモデルをリサーチし、そのエッセンスを抽出。それを、7種類22分類に体系化したものです。
ビジネスを発展させていくためには、人と組むことが前提になりますが、この「型」は事業フォーマットとして人間関係の組み方を体系化したものでもあります。そういう意味では、キャッシュポイントの「型」でもあるわけです。
この「型」の開発者は、私が認定講師を務める一般社団法人シェア・ブレイン・ビジネス・スクールの代表理事である中山 史貴氏です。10年以上の時間をかけて研究し分類したものであり、ビジネスモデルのアイデアを発想することを前提にまとめられています。
書籍、アイデアのつくり方で有名なジェームス・W・ヤング氏の名言に「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである」という言葉があります。
何かしら新しい事業を開発しようと考えたときに、この「型」をあなたの「強み」と組み合わせることで、モレなく良質なアイデアを発想することができるようになります。
そして良質なアイデアを発想するためには、正しい手順で、まず量産する必要があります。数で言えば少なくとも50~100案は考えたいところです。これには理由があります。
人が何かを考えるときに、これまで自分が見てきたものとか、流行などを真似する傾向があります。しかしそれでは企画に落とし込むのはむずかしいのです。なぜならば、それらはどこかで見たことのあるアイデアでありオリジナリティがないからです。
アイデアを考えていくと、ある程度のところで、これ以上は思いつかないという瞬間が必ずやってきます。それでも必死にもがいていると、自分の実体験や過去にあったことなどにフォーカスし始めます。実はこれがオリジナリティのあるアイデアにつながります。
私の経験上、100案を超えたあたりから潜在意識が初めて動き出す気がしています。そこに到達するまでは、誰もが思いつく平凡なアイデアです。
しかし、よほど考えることに慣れていて頭の中に発想脳ができあがっている人以外は、通常アイデアを量産することはむずかしいでしょう。そこで登場するのが、7種類22分類の「型」という発想ツールなのです。
この発想ツールを使い少し訓練をすることで、ポイントを外すことなくビジネスモデルのアイデアを量産することができるようになります。そして、この発想ツールはさまざまな活用方法があります。
このツールを使用することで、まず自分の会社のビジネスモデルがどんな「型」であるかということを分析することができます。同様にライバル会社のビジネスモデルを分析し自社と比較することもできるようになります。
このようなビジネスモデルの分析は、自社の現状を把握する上でとても大切です。現状が把握できれば何をするべきかが明確になるからです。本来はここがスタートラインなのです。
そして、最終目的はその先です。現状を把握して、そこからどのように事業を発展させていくべきかアイデアを考えること。着地点はそのアイデアに基づき実施に踏みきることだからです。
起業家の悩みの多くに自分のやるべきテーマがみつからないというものがあります。自分たちの「強み」を活かし、いかに早くビジネスを立ち上げるか。それを再現することを前提としたツールになっていることが重要なのです。
良質なアイデアには「型」が必要
世の中にビジネスモデルの構築方法は多種多様あります。その中で、私はこの7種類22分類の「型」に惹かれてビジネスモデル・デザイナー®になりました。その理由は、1,061個のビジネスモデルを10年以上分析し7種類22分類の「型」を整理したプロセスにあります。
実は私も同じような成功事例のエッセンスを抽出する作業をこれまでの仕事人生で2回やってきています。
私は広告業界で20年以上仕事をしてきていますが、20代の頃に制作会社から広告会社に転職した経緯があります。その転職時に衝撃を受けたのはアイデア発想についてでした。制作会社に求められるのは技術力ですが、広告会社のクリエイターに求められるものはアイデア発想力でした。
入社当初、企画会議で私はまったくアイデアが出せなかったのです。しかし先輩たちは斬新なアイデアをバシバシ出してきます。当時の私は、考えても、考えても、ポイントを外したしょぼいアイデアしか思いつきませんでした。
企画会議が恐くなった時期もありました。とても恥ずかしい話ですがアイデアが出ない時は逆立ちをしたことすらありますし、行き詰ると近くの神社にお参りに行ったこともありました。本当の意味で神頼み。当事はそのくらい必死だったのです。
そんな状況の中で私が取り組んだのが、世の中で評価を得ている広告の分析でした。この方法は、私に限らずクリエイターの方で取り組んでいる人は少なからずいます。
国内でも有数なコマーシャルを手がけ社会的な評価を得た、某大手広告代理店のクリエイティブディレクターは、あるとき営業職からクリエイターに転身しました。彼は昨日まで営業職です。いきなりクリエイティブのアイデアを出すことはできません。
そのときに彼がやったこと、それは何日も会議室に閉じこもり過去ヒットしたコマーシャルを視聴しまくったのです。するとヒットする広告には、数種類の共通パターンがあることに気づいたそうです。彼はそのパターンに基づきにコマーシャルをつくり数々のヒット作を残しました。
アイデアの出なかった私も同じことをしました。とにかくヒットした広告を分析しスクラップ帳に貼りまくりました。全体をながめ見えてきたのは、ヒット広告にはやはり共通点があるということでした。
それに基づきアイデアを考えると、まずストライクゾーンから外れることはなくなったのです。行き詰ったときに良いアイデアを思いつく最良の方法は、アイデアの「型」を手元に置いておいて、それを見ながらインスピレーション得ることです。
私の抽出したヒット広告のエッセンスはとてもシンプルです。たとえば、いくつかご紹介すると以下のような感じです。
・商品の価値を伝える
・商品の使用実感を伝える
・商品を使うことでどんな体験ができるかを伝える
・商品ベネフィットを実証する
・新しいライフスタイルを提案する
・世の中の動きと連動させる
・生活シーンに触れ実感してもらう・・・
このようなものが100パターンくらいにまとまりました。
とにかく正しい思考の切り口を増やすことでいろいろなアイデアが生まれてきます。これが、発想の「枠組み」です。こうして、私は最終的には広告賞を受賞するまでに至りました。現在でも広告アイデアを考える場合には、この「型」を活用しています。
そして、もうひとつの分析。私はある雑誌の編集にディレクターとして携わったことがありました。ここで困ったことは、広告と編集とは、まったく違うスキルが必要とされるため、特集アイデアなどをスムーズに出せなかったことでした。そこで私はここでも同じようにエッセンスの抽出から始めました。
広告は商品やサービスが基点になりますが、編集は読みものであるためアイデアの発想法がまったく異なります。どんな題材をテーマにするか、そしてどんな組み立てをするかという企画力は毎回求められました。
人が欲しているものは、常に新しい情報です。コンテンツ作成時、一番いいのは取材をすることだと思っています。なぜならば、取材をすることで他にないネタを拾える可能性が高いからです。インターネットでは、リライトされた二次情報が出回っていますが、検索して出てくるような情報ではまったく意味がありません。
そして、話にふくらみを持たせるためには立体的な表現が必要です。そのためには、多面的な視点から取材をすることです。そうすればコンテンツに広がりが出てきます。
余談になりますが、数年前に創刊した日本橋ビジネスレビューという雑誌が執筆者の実体験や知見に基づく記事を掲載しているのもオリジナリティを追求しているからです。そして、執筆者が複数人いることで、さまざまな着眼点をご提供できるように心がけています。
さて、こちらでも私が発見した編集の「型」をひとつだけご紹介させていただきます。たとえば、あるWebメディアで和菓子の特集記事を掲載しようと企画していたとします。そんなときの取材手順の「型」です。
①「テーマ」を決める
→和菓子をどんな角度で紹介するか
②「土地」についての取材
→和菓子と地域性の関係
③「歴史」についての取材
→和菓子が根付いた流れ
④「人」についての取材
→和菓子に関わる人々
⑤「出会い」という臨場感
→取材時に出会った人々のこと
⑥「実感」という独自性
→取材時の自分の実感
⑦「結論」としての発見
→取材をして新しく発見したこと
この流れはひとつの「型」です。これらを組み合わせてストーリーを作成することで、コンテンツに深みを持たせることができます。これを知るまでに1年以上かかりました。このような「型」を知らずに、テーマに沿っただけの記事にしてしまうと話がふくらまずに、読みものとしてはつまらないものになります。
「型」に秘められた可能性
あるとき私は、中小企業の事業をデザインでサポートしているときに気づいたことがあります。
それは、成熟社会、変化の時代において、少なからず事業の仕組みを再考しなければいけないのではないかと思われる企業が増えてきているということです。
そのようなことが発端で、私はクライアントを成長企業に導くために、ビジネスモデルをテーマにした3回目のエッセンス抽出作業に入ろうと考えていました。
ところが、すでに体系化されたメソッドがあったのです。
それが、ビジネスモデル・デザイナー®の7種類22分類の「型」でした。これを発見したときは驚きました。1,061個の「型」の分析は、私が取り組んできたレベルの比ではありません。
うまくいっているビジネスには必ず共通点があります。その共通点を抽出したものが「型」です。いかがでしょう。
「型」の重要性を少しでもご理解いただけたたでしょうか。
残念ながら、7種類22分類の「型」については、この場では公表することができませんが、すべての「型」は思考スピードを早め、事業を加速するために存在します。「型」には未来を切り開く無限の可能性が秘められているのです。
▼ 過去のデザイン事例集
これまで関わってきた仕事の一部を事例として掲載しています。ただし著作権や肖像権を有するコンテンツが多く含まれるため、アクセス制限(認証パスワード)を設定させていただいております。