デザイン

デザインの本質は相手を感動させること

これは、イタリアを代表する建築家、エットレ・ソットサスの言葉です。

私もこの言葉には心から共感します。

彼の言葉からは、たった一人の喜ばせたい相手に対して、想いを形にして真心を込めて届けることがデザインであるという意味が感じられます。

花束を贈るときには、まず相手の喜ぶ姿を想像します。そして相手の好みや贈るタイミング、伝えたいメッセージなどを丁寧に考えます。

これらすべては、相手に対する深い愛情と思いやりから生まれるものです。

ビジネス上のデザインの考え方も同様です。店舗のデザイン、商品のデザイン、広告のデザイン・・・どれも相手を思いやる心から生まれるものであり、単なる装飾ではなく相手に対する愛情や考えが形になったものです。こうした姿勢や考え方がとても重要だと思います。

デザインが目指すのは、相手に対する深い愛情や配慮を表現することです。この姿勢は、ビジネスにおいても強力な武器になると考えています。

デザインの本質は、相手を感動させることにあります。

感動を生み出すデザインの役割

私自身は、商業デザインというジャンルの仕事に携わっています。主にブランディングやマーケティングに基づいた広告や商品などのデザインを担当することが多々あります。そうした中でデザインの役割とは何かと聞かれたら、シンプルに次の2つだと答えます。

究極的には、価値が「伝わる」ことを目指して日々努力しています。伝えるのではなく「伝わる」ことが大切です。

そのためには、まず相手のことを考えることがスタートラインです。相手を知る努力をすることで届け方の方向性を導き出すことができます。

デザインは思考を見える形にすることです。見えない想いや考えを可視化することで初めて価値が生まれます。つまり、デザインは考えやアイデアを可視化する技術であり見える形にすることで変化を生み出すのです。

それは、モノゴトを改善する変化です。デザインを使って困っている人を助けるべきだと考えています。

デザインはどのような変化を可視化するのか、具体例をあげるとすれば・・・

「売れない」→「売れる」という変化
たとえば、店内のレイアウトがわかりにくく商品が売れないという問題に対して、売場導線を考えたレイアウトと視覚的なディスプレイを導入することで、商品が目につきやすくなり売上が向上するかもしれません。

「集まらない」→「集まる」という変化
たとえば、カフェのインテリアが魅力的でないために人が集まらないという問題に対して、トレンディでフォトジェニックなデザインに改装し、SNSでのシェアを促すことで集客力を高められるかもしれません。

「不快」→「快適」という変化
たとえば、オフィスの椅子が不快で長時間座れないという問題に対して、人間工学に基づいたデザインの椅子を開発し導入すれば快適に仕事ができるようになるかもしれません。

「わからない」→「わかる」という変化
たとえば、新製品のマニュアルがわかりにくいという問題に対して、イラストや図解を多用したマニュアルをデザインすれば、誰でも簡単に理解できるようになるかもしれません。

「複雑」→「シンプル」という変化
たとえば、複雑なウェブサイトのナビゲーションに困惑しているユーザーに対して、シンプルなデザインと簡潔なメニュー構成を採用することで、使いやすさが向上するかもしれません。

「興味がない」→「興味が湧く」という変化
たとえば、歴史に興味がない学生に対して、歴史的な出来事を生き生きと描いたイラストやアニメーションを教材に取り入れることで、興味を引き出し学習意欲が高まるかもしれません。

「誤解」→「理解」という変化
たとえば、企業のミッションが社内で誤解されているという問題に対して、企業の価値観やビジョンを視覚的に表現したブランドガイドラインとコミュニケーションツールをデザインすることで、正確な理解を深めることができるかもしれません。

「混乱」→「利便性」という変化
たとえば、観光地や国際的な施設で外国人が道に迷い混乱するという問題に対して、多言語対応のサインがあることで、方向案内と位置が明確化され外国人利用者の利便性が向上するかもしれません。

「一貫性がない」→「統一感がある」という変化
たとえば、ブランドの店舗デザインに一貫性がなく顧客が混乱するという問題に対して、ブランドのコンセプトに基づいた統一感のあるデザインを作成することで、ブランド力が向上するかもしれません。

「不安」→「安心」という変化
たとえば、医療施設の無機質なデザインが患者に不安を与えるという問題に対して、暖かみのある色調と自然素材を用いたインテリアデザインを採用し、リラックスできる空間を提供することで安心感に変わるかもしれません。

これらは、すべて単なる想像ですがデザインで取り組めることです。似たようなケースは実際によくあります。何かしらの問題や課題があって、その解決策を考え視覚情報を使って改善する。デザインが問題解決の手段とされるのは、このためかもしれません。すべては、たった一人の喜ばせたい相手に対して想いを形にして真心を込めて届ける姿勢から生まれます。

デザインの役割とは、
モノゴトを良くする変化によって
相手を感動させることです。


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